日本企業が越えるべき壁──オープンイノベーションと組織変革の処方箋──メンター三田会11月定例イベント開催報告
- mentormitakai2016
- 11 分前
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【開催報告】メンター三田会11月定例イベント
日本企業が越えるべき壁──オープンイノベーションと組織変革の処方箋
2025年11月26日(水)、アルー株式会社セミナールームにて、メンター三田会11月定例イベント「日本企業が越えるべき壁:オープンイノベーションと組織変革の処方箋」が開催されました。
今回は、大企業の変革支援に長年携わってきた木村尚敬氏と、スタートアップ・エコシステムを専門とする芦澤美智子氏が登壇し、理論と実践の両面から組織変革の本質に迫りました。
■ 第1部:ご講演

まずは両氏より、それぞれの立場から「最近のホットトピック」を交えて講演いただきました。
◉ 木村 尚敬 氏(IGPIグループ共同経営者)
木村氏からは、大企業が変革に踏み出せない構造的要因について、リアルな事例を交えて紹介がありました。
「将来のあるべき姿を自ら決めきれないこと」「分析に終始し、正解を探す姿勢」など、日本企業が陥りがちな罠を指摘。
改革が求められる局面で、現場が“改善”アプローチに終始してしまうことが、大きなボトルネックであると強調されました。
◉ 芦澤 美智子 氏(慶應義塾大学大学院 准教授)
芦澤氏からは、スタートアップ連携やM&Aによる変革の必要性について、制度論・実務両面から論じられました。
現在の関心として、M&A後の変革プロセス(PMI)に注目していることが共有され、CEO直下に変革専任ポジションCDE:Corporate Development Executive(コーポレート・デベロップメント・エグゼクティブ、事業開発担当役員)の重要性を最新論文などのエビデンスをベースに説明しました。この役職は、単なる「事業開発」を所管する者ではなく、M&Aプロセスを専門的に主導する企業の専門役員という提言でした。
■ 第2部:対談

続く対談では、日本企業の「戦略的思考の弱さ」や「価値創造ストーリーの不在」に話題が及び、参加者との対話を交えて議論が深まりました。
PMIがうまくいかない背景には、戦略を描く力そのものの欠如があるのではないか?
スタートアップの方がよほど明確なビジョンと論理を持っているケースがある
M&Aを成功させるには、数十億円規模の意思決定ができる利益率・利益額を日頃から確保しておく必要がある
アメリカでは、「大谷翔平化したエンジニア」が高給で企業価値を牽引している一方で、日本では20代の役員登用や報酬改革は現実的にかなり難しい
といった刺激的な問いかけが飛び交い、参加者の思考も大きく揺さぶられる内容となりました。
日本企業の変革において、スタートアップとの共創は単なる手段ではなく、「自己革新」を伴う挑戦であるというメッセージが強く伝わるイベントとなりました。
今後もメンター三田会では、こうした実践知と理論を結ぶ対話の場を提供してまいります。



