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  • アカデミア × 産業の再構築──理研と東大TLOから見える“次の10年の社会実装”

    ーメンター三田会新年特別講演会開催報告 アレン・マイナー氏が語る 日米イノベーションエコシステムの本質 アカデミア × 産業の再構築──理研と東大TLOから見える“次の10年の社会実装” 2026年1月28日(水)、代官山ヒルサイドテラスにて、メンター三田会の新年会が開催されました。 本年最初の定例イベントには、理研イノベーション代表取締役であり、東京大学TLOの元代表でもある 山本貴史氏 をお迎えし、「日本のアカデミア × 産業の再構築」をテーマに特別講演を実施。講演後には、参加者同士が語り合う懇親会も開かれ、立場を超えた対話が生まれる時間となりました。 ■ 特別講演概要:山本貴史氏 山本氏からは、産学連携・技術移転の最前線で得られた経験に基づき、日本における 社会実装の課題と可能性 について幅広く語っていただきました。 日本の科学技術水準は依然として高いにもかかわらず、 大学発スタートアップ(ライセンシー企業)の数は限定的 である現状 理研における スタートアップ支援策の改革事例 (手続きの簡素化、意思決定の高速化) 研究インフラ(例: ヘリウムリサイクル施設 など)を活用したビジネスモデル構築の取り組み マーケティング視点の重要性 と、「どんな“シナリオ”を描くか」が事業化の鍵になるという実感 また、最後にはAI時代におけるリーダーシップの話題にも触れ、 「 AIは責任を取れない。だからこそ、人間のリーダーが“引き受ける存在”であることが重要 」という言葉が印象的でした。 ■ 交流会と対話の時間 講演後は会場を移して懇親会を実施。 各テーブルでの対話では、参加者がそれぞれの立場から感じた疑問や展望を共有し合い、新年のスタートにふさわしい学びとつながりの時間となりました。 メンター三田会では、2026年も引き続き、領域を越えた実践知とつながりが生まれる場づくりを行ってまいります。

  • アレン・マイナー氏が語る、日米のイノベーションエコシステムの違い ーメンター三田会12月定例イベント開催報告

    【開催報告】メンター三田会 2025年 忘年会特別講演 アレン・マイナー氏が語る 日米イノベーションエコシステムの本質 2025年12月10日(水)、東京証券会館内のCAFE SALVADORにて、メンター三田会の忘年会が開催されました。 今年の締めくくりとなる特別講演には、サンブリッジグループ創業者のアレン・マイナー氏をお迎えし、「日米のイノベーションエコシステムの違い」についてお話しいただきました。 ■ 特別講演|アレン・マイナー 氏 サンブリッジグループ 創業者/元・日本オラクル初代代表 マイナー氏は、自身の日本での長年の実践をもとに、日米における起業・投資・企業文化の違いを多角的に語りました。 特に印象的だったのは、イノベーションを支える「ストーリーとフォロワーの重要性」や、「“テック”とつければ資金が集まる風潮」、「リスクマネーなのに、実際はリスクがあまりないものにも流れている」「哲学としての企業のあり方の差異」等に関する洞察です。主に以下のようなことが語られました。 イノベーションの原点は“人間のニーズ”にあり、それに応える起業家と、共鳴し支えるフォロワーが不可欠 米国は投資先の多くがソフトウェアやAI関連。米国はスタートアップへの投資額が日本の約40倍という統計が日本の中で発表されているが、米国の集計値の半分は大企業のCVC的なものがカウントされている一方で、日本の集計値には商社などの類似する投資マネーが入っていない。非常に狭い視野で語られておりミスリードしやすいところに課題がある。 一方、日本ではライフスタイル領域や地域密着型のイノベーションが根強い VCの資金源の違いや、商社による新規事業投資など、日本独自のエコシステムの在り方も指摘されました また、日本企業の特徴として、「理念・継続性・社員重視」という企業哲学が根付いており、米国の効率化・収益最大化型とは一線を画すことが強調されました。 「理念を起点にサービスを再設計できるのは日本企業の強みであり、誇るべき文化だ」とする視点には、会場からも深い共感の声が寄せられました。 ■ 忘年会・交流の時間 講演後は参加者による質疑応答とショートスピーチに続き、忘年会形式での交流会が行われました。 知的刺激と温かな対話が交差するひとときとなり、2025年を締めくくるにふさわしい場となりました。 メンター三田会は、2026年も実践者の学びとつながりを育む場を継続してまいります。新たな年もどうぞよろしくお願いいたします。

  • 日本企業が越えるべき壁──オープンイノベーションと組織変革の処方箋──メンター三田会11月定例イベント開催報告

    【開催報告】メンター三田会11月定例イベント 日本企業が越えるべき壁──オープンイノベーションと組織変革の処方箋 2025年11月26日(水)、アルー株式会社セミナールームにて、メンター三田会11月定例イベント「日本企業が越えるべき壁:オープンイノベーションと組織変革の処方箋」が開催されました。 今回は、大企業の変革支援に長年携わってきた木村尚敬氏と、スタートアップ・エコシステムを専門とする芦澤美智子氏が登壇し、理論と実践の両面から組織変革の本質に迫りました。 ■ 第1部:ご講演  まずは両氏より、それぞれの立場から「最近のホットトピック」を交えて講演いただきました。 ◉ 木村 尚敬 氏(IGPIグループ共同経営者) 木村氏からは、大企業が変革に踏み出せない構造的要因について、リアルな事例を交えて紹介がありました。 「将来のあるべき姿を自ら決めきれないこと」「分析に終始し、正解を探す姿勢」など、日本企業が陥りがちな罠を指摘。 改革が求められる局面で、現場が“改善”アプローチに終始してしまうことが、大きなボトルネックであると強調されました。 ◉ 芦澤 美智子 氏(慶應義塾大学大学院 准教授) 芦澤氏からは、スタートアップ連携やM&Aによる変革の必要性について、制度論・実務両面から論じられました。 現在の関心として、M&A後の変革プロセス(PMI)に注目していることが共有され、CEO直下に変革専任ポジションCDE:Corporate Development Executive(コーポレート・デベロップメント・エグゼクティブ、事業開発担当役員)の重要性を最新論文などのエビデンスをベースに説明しました。この役職は、単なる「事業開発」を所管する者ではなく、M&Aプロセスを専門的に主導する企業の専門役員という提言でした。 ■ 第2部:対談 続く対談では、日本企業の「戦略的思考の弱さ」や「価値創造ストーリーの不在」に話題が及び、参加者との対話を交えて議論が深まりました。 PMIがうまくいかない背景には、戦略を描く力そのものの欠如があるのではないか? スタートアップの方がよほど明確なビジョンと論理を持っているケースがある M&Aを成功させるには、数十億円規模の意思決定ができる利益率・利益額を日頃から確保しておく必要がある アメリカでは、「大谷翔平化したエンジニア」が高給で企業価値を牽引している一方で、日本では20代の役員登用や報酬改革は現実的にかなり難しい といった刺激的な問いかけが飛び交い、参加者の思考も大きく揺さぶられる内容となりました。 日本企業の変革において、スタートアップとの共創は単なる手段ではなく、「自己革新」を伴う挑戦であるというメッセージが強く伝わるイベントとなりました。 今後もメンター三田会では、こうした実践知と理論を結ぶ対話の場を提供してまいります。

  • ファミリービジネスと地域貢献──地域に根ざす企業のこれから──メンター三田会10月定例イベント開催報告

    【開催報告】メンター三田会10月定例イベント ファミリービジネスと地域貢献──地域に根ざす企業のこれから 2025年10月24日(金)、渋谷のSOILにてメンター三田会10月定例イベント「ファミリービジネスと地域貢献」が開催されました。 今回は、地域社会の土台を支えてきたファミリービジネスに焦点を当て、その持続性や公共的役割について掘り下げるセッションが行われました。 ■ 第1部:講演|飯盛 義徳 氏 慶應義塾大学 総合政策学部 教授 冒頭では、飯盛氏よりファミリービジネスの歴史的背景や地域との関係性について講演が行われました。 日本は 世界でも群を抜いて長寿企業が多い国 であり、ファミリービジネスの存在が経済・文化の基盤を支えているという視点が共有されました。 具体例として、赤福が地域活性化のために立ち上げた「おかげ横丁」などの事例にも触れながら、 ファミリービジネスが地域に貢献する多様なあり方 が示されました。 また、地域社会との関係性については「ガバナンスが効くのは、地域に根ざしているからこそ」とし、 資源の相互依存関係 が企業の行動に責任と安定をもたらしているといった視点が印象的でした。 ■ 第2部:講演|仙石 泰一 氏 株式会社三技協 取締役社長 続いて、通信エンジニアリングの分野から地域に向き合ってきた仙石氏より、三技協の歩みが紹介されました。 固定通信、移動体通信、そして現在のM2M/IoT/AI時代と、 3世代にわたり通信の進化に取り組んできた企業の軌跡 が語られました。 また、後継者としてサラリーマン経験を経て経営に入った自身の立場から、 ファミリービジネスの承継における柔軟性や学び についても率直に共有されました。 ■ 第3部:対談・質疑応答 後半の対談では、地域での企業活動における「信頼」「継続性」「公益性」といったテーマが掘り下げられ、参加者からも活発な質疑が飛び交いました。 特に、 単なる事業承継にとどまらず、地域との共生を前提とした経営とは何か について、両氏の実践を踏まえた視点が交わされる場面は印象的でした。 地域との関係性が再び問われる中で、ファミリービジネスが持つ価値や可能性に改めて光を当てる時間となりました。 今後もメンター三田会では、多様な実践者の知見に触れ、学び合える場を提供してまいります。

  • スタートアップの“出口”に何が起きているのか──グロース市場再編・M&A・資金調達の現在地──メンター三田会9月定例イベント開催報告

    【開催報告】メンター三田会9月定例イベント スタートアップの“出口”に何が起きているのか──グロース市場再編・M&A・資金調達の現在地 2025年9月24日(水)、メンター三田会9月定例イベントが渋谷SOILにて開催されました。 今回は、グロース市場やM&Aをテーマに、スタートアップの“出口戦略”に焦点を当てた対談形式のセッションが行われました。 ■ 登壇者 伊藤 信雄 氏(テンキューブ株式会社 代表取締役) 若山 泰親 氏(ブレイクポイント株式会社 代表取締役 / XVC パートナー) ともにスタートアップ支援・ファイナンスの第一線で活躍されているお二人が、最近の市場動向と実例を交えて率直な議論を展開しました。 ■ イベントの概要と主なトピック 冒頭では、お二人のキャリアと現在注目しているトピックが紹介され、話題はそのまま「スタートアップの出口」に関する本題へ。 グロース市場再編の背景と今後の展望 資金調達環境の変化と“選ばれる企業”の条件 海外展開を視野に入れた企業が留意すべき点 上場後にグロースし続ける企業とそうでない企業の差 いずれも、登壇者の現場感あふれる視点が随所に織り交ぜられ、参加者にとっては他では聞けないリアルな情報が満載の時間となりました。 ■ クロージングと交流 質疑応答では、参加者からも鋭い質問が多く寄せられ、対談の熱がそのまま交流会へと引き継がれました。 今後もメンター三田会では、スタートアップのリアルな現場に触れる機会を提供してまいります。次回イベントも、どうぞご期待ください。

  • 【対談】メンター三田会は地方創生にどのような貢献ができるのか?

    対談者: ·       田中 克徳 (メンター三田会副会長/慶應義塾大学政策・メディア研究科特任教授 /長野大学客員教授) ·       星野 尉治 (域産官学共創機構代表理事/地方創生三田会理事 /農水三田会理事・幹事長/   メンター三田会会員) ·       石島 知  (株式会社ことびと代表取締役 /メンター三田会会員) 2年前に長野県茅野市に移住し、現地で地域活性化に取り組んでいる。 田中氏(左)、星野氏(中央)、石島氏(右) 司会: 池松 邦彦 (メンター三田会理事/タイミー監査役/Zip Infrastructureアドバイザー) 池松氏 開催趣旨 人口減少や高齢化が進む地方において、それぞれの地域が持つ資源や魅力を活かし持続可能な社会を築くために、産業振興、人材育成、移住・定住の促進、子育て環境の整備、デジタル技術の応用などの様々な「地方創生」の取り組みが行われています。スタートアップや新規事業開発の支援に強みを持つメンター三田会は、「地方創生」の分野でも何か貢献ができるのではないかと考えられます。特に地域企業の創出や再生、地域の未活用資源の活用、ファイナンスや人材育成などにおいて、課題意識やノウハウを持っている会員も少なくないと思われます。以上のような背景から、「メンター三田会は地方創生にどのような貢献ができるのか?」をテーマに座談会を実施しました。「地方創生」という喫緊の課題に対して私たちがどのような貢献ができるのか、その道筋を探ることを目的としています。   私たちが地方創生に関わる理由について 池松 :本日は「メンター三田会は地方創生にどのような貢献ができるか?」というテーマでお集まり頂き、有難うございます。地方創生は日本の大きな課題ですが、スタートアップや新規事業開発の支援に強みを持つメンター三田会が、これまであまり取り組んでこなかった分野でもあります。本日は皆さんの知見から、地方創生への貢献の道筋を探っていきたいと思います。 まず、自己紹介を兼ねて、皆さんと地方創生との関わりについてお聞かせ下さい。最初に、田中さんからお願いします。 田中 :メンター三田会では副会長を務めております。キャリアの多くは三菱地所で「まちづくり」に携わってきましたが、都心部だけでなく地方の仕事にも関わってきました。慶應とは2004年のメンター三田会創立と、SFCのインキュベーションセンター立ち上げに当時非常勤の教員として関与するなど、まちづくりに加え社内新規事業やイノベーション創出の領域を歩んできました。現在は大学で「地域イノベーション」、平たく言えば「新事業を生み出すまちづくり」を専門に研究・実践しています。 池松 :有難うございます。続いて、地方創生三田会の理事も務められている星野さん、お願いします。 星野  :星野です。私もメンター三田会と、立ち上げメンバーでもある地方創生三田会に所属しています。元々はDNP(大日本印刷)でマーケティングやクリエイティブなどに従事していましたが、SFCの大学院で学んだ後に自身でも仲間とスタートアップを起業してからは、スタートアップ支援や新規事業開発に軸足を移しました。その中で、静岡や千葉での地方創生プロジェクト、空き家対策関連の事業などに関わった経験があります。現在は主に鹿児島県の離島中山間地域で、教育的な観点から地方創生を進める活動をしています。 池松 :多彩なご経歴ですね。最後に、2年前に東京から長野県茅野市に移住された石島さん、お願いします。 石島  :石島です。妻と共に立ち上げた「森と、ピアノと、」という、長野県の森の中に建つ1日ひとり限定のアートスペースを運営するため、2年前に八ヶ岳・茅野へ移住しました。新卒ではソニー株式会社に入社し、海外マーケティングを担当。その後、医療・ヘルスケア×IT領域で新規事業の立ち上げに携わりました。立ち上げた事業は、医療分野で事業を展開するシミックグループ(当時・東証一部上場)へ売却し、その後は子会社の社長として約3年間経営を経験しました。昨年末に退職し、今年1月に長野県茅野市で株式会社Kotobitoを設立。「世界中で、面白き人と、コトを起こす」をミッションに、ゼロから事業をスタートしています。これまでは一つの事業を深く掘り下げてきましたが、現在はプロデューサーとして医療・アート・宇宙・ホテルなど多様な分野で挑戦する方々を支援し、自社事業の立ち上げも進めています。地方創生についても、地域の皆さんから学びながら日々奮闘中です。 なぜ今、地方創生なのか? - 課題の本質 池松 :皆さんの多様なご経験が、まさに今日のテーマを深く掘り下げる上で心強いです。では本題に入ります。皆さんが現場で感じている地方創生の課題意識からお聞かせいただけますか。田中さん、如何でしょう。 田中 :地方創生の政策は驚くほどたくさんあるのですが、試しにAIに整理してもらうと30年前から掲げられている施策も多数あります。議論が繰り返され、成果に結びついていないとの指摘が各所であるのが実情です。「実行」段階は何倍もの時間とエネルギーが必要になります。政策を並べ、合意形成することが目的化してしまい、いざ実行する段階の兵站(ロジスティクス)やオペレーションの具体的な話がすっぽり抜け落ちている。これが非常に大きな問題だと感じています。「担い手」の話が主役になるべきと考えています。 池松 :実行が伴わない、と。星野さんは、特に人口問題に着目されていますね。 星野 :はい。私が活動する鹿児島県のある市は、高齢化率がほぼ45%。若者は高校を卒業すると東京などに出て行ってしまい、生産年齢人口がどんどん減っています。よって自治体の税収も減り、消滅可能性都市という現実が迫っています。この「東京一極集中」の構造が最大の課題です。 池松 :茅野市で奮闘されている石島さんから見て、現場のリアルな課題とは何でしょう? 石島 :「問題がある」ことは、もうみんな分かっているんです。一番の課題は、「実行する人」が圧倒的に足りないこと。そして、地域と外部のリソース(東京の資金や知見など)を繋いでプロジェクトを推進する「プロデューサー」のような存在がいない。機会は山ほどあるのに、それを「面白い、やろう!」と動く人が少ないのが現状です。 メンター三田会の貢献の道筋 池松 :なるほど。実行、人口、担い手という3つの課題が見えてきました。では、我々メンター三田会は、具体的にどう貢献できるでしょうか。 田中 :漠然と議論するのではなく、地域の核となる「先駆的な優良企業」と組むことです。やる気のある経営者の方と一緒になって、地域に残りたい、移住したい若い世代の皆さんと高付加価値な事業を生み出し、魅力的な雇用を創出することに的を絞って進めるなど、0→1だけでなく、1→10、10→100にする共創の仕組みづくりが重要です。私が長野で進めている教育研究プロジェクトも、大学をプラットフォームに、地域の有力企業等と連携し、学生や若手社会人が事業創造に挑戦する実践的な取り組みになります。 石島 :田中さんのご意見には大賛成です。地域の経営者は、外の力を本当に求めています。メンター三田会の方々には、ぜひ伴走者としてプロデュース機能を発揮してほしい。そしてもう一つ、「地方から直接、海外を目指す」という視点を提供していただきたい。我々の後ろから「やれ、やれ!」と背中を押してくれる存在がいると、非常に心強いです。 星野 :海外も重要ですが、その手前の「ブランディングやマーケティング」も我々が貢献できる点だと思います。「一粒1000円のライチ」のように、ブランディングで付加価値を劇的に高めることができれば、生産者の収入も向上し、地方離れに歯止めをかけられるかもしれません。また、そもそも地域に戻ってくる人材を育てるために、高校生への愛着教育、起業家教育、キャリア教育や探究教育など、地元に帰ってきやすい滞在拠点の整備なども重要なアプローチだと考えています。 「世界」を視野に入れた新たなモデル 池松 :「海外」、「ブランディング」というキーワードは非常に面白いですね。もう少し具体的にお聞かせいただけますか。 田中 :例えばスペインの美食の街サンセバスチャンのように、地域が一丸となって知的財産を管理し、グローバルブランドを確立している例があります。日本の伝統産業、特に発酵産業などは単に美味しいということではなく、その精神性や文化性などを含め世界に誇れるものですが、その価値を伝えきれていない。売り上げ規模で1000億円を目指すような世界観が必要だと思います。 星野 :まさにその通りで、佐渡の酒蔵が東京を介さず直接海外で成功した事例もあります。ECを使えば販路は世界に開かれている。そのノウハウを支援できるはずです。 石島 :それに加え、海外から優秀な人材を地方に呼び込むという視点もあります。地方は生活コストが安いといった魅力があり、働き手不足に悩む地元企業と海外人材をマッチングさせる事業は大きな可能性があります。自分たちの課題は自分たちで解決する、という気運を醸成したいですね。   結論:明日から何をすべきか? 池松 :非常に刺激的な議論でした。最後に、我々が踏み出すべき「次の一歩」について、一言ずついただけますか。 石島 :フィールドも、やる気のある人も、ここにいます。是非メンター三田会の皆さんと一緒に汗をかき、後押しをいただきながら、具体的な課題解決を実行していきたいです。 星野 :地域の推進役となる情熱を持った人と、我々のような外部の人間が同じ目線で活動できる「場」を作っていくこと。それがオープンイノベーションを生む鍵だと思います。 田中 :大きな会議体で議論するのではなく、こうしたテーマに情熱のある経営者の方とテーマを一つに絞り、まずは小さな成功事例を本気で作っていくことに取り組んでいく。その実績が、次の動きに繋がっていくと思います。 池松 :有難うございました。今日の議論では、メンター三田会が地方創生に関わる大きな可能性を示唆して頂きました。地方創生を進めていくにあたっては、総論ではなく具体的なテーマと実行者を見出し、そこに私たちが伴走支援していくこと。つまり主役はその地域に暮らし、地域の変革を担う実行者の方々であり、また短期間で成果が出るものではないため、伴走者である私たちもその「場」に参画し、中長期的な視点と継続的な関与が必要であると思います。この座談会をきっかけに、メンター三田会として具体的なアクションを始めていきたいと思います。

  • タイミーは何故、ユニコーンになれたのか?―『起業の科学』から分析する──メンター三田会8月定例イベント開催報告

    2025年8月27日(水)メンター三田会8月定例イベント 2025年8月27日(水)、渋谷のSOILにて、メンター三田会8月定例イベントが開催されました。 当日は、急成長スタートアップ・タイミーの成長戦略を分析する基調講演と、「ケアと共生のかたち」を問う塾員ピッチの二部構成で行われました。 【第1部:基調講演】 池松 邦彦 氏(IKEコンサルティング株式会社 代表取締役/株式会社タイミー監査役) テーマ: 「タイミーは何故、ユニコーンになれたかのか?―『起業の科学』から分析する―」 池松氏からは、株式会社タイミーがユニコーン企業へと成長した背景を、「起業の科学」の視点から多角的に解説いただきました。 「面接なし・履歴書なし・即日給与払い」という従来の常識を覆すサービス設計 コロナ禍での危機に際し、 物流業界向けに柔軟に事業転換 した対応力 「 プロダクト・マーケ・営業&CS 」の三位一体の戦略に加え、ファイナンス・ロビイングも含めた組織的成長構造 特に注目を集めたのは、エンタープライズ企業(エンプラ)の開拓手法。 タイミーというとマーケやプロダクトがフォーカスされがちですが、顧問契約・キーマンアプローチから入り、無償のBPRコンサルを徹底的に実施 することで信頼を獲得し、大手企業との取引へとつなげていったプロセスが共有されました。 【第2部:塾員ピッチ】 金子 智紀 氏(非営利型株式会社KOTOBUKI 代表取締役) テーマ: 「『ケアする/される』から『ともに生きる』社会へ」 後半は、塾員である金子氏が取り組む“共生のかたち”についてのピッチ。 介護・子育て・教育といった分野で、「ケアを一方的なものにせず、共に場をつくる」という理念のもと、現場での実践と学術研究を融合した取り組みが紹介されました。 課題先進国である日本の介護施設や現場をみたいという外国人向けの研修など新しいビジネスモデルを共有いただきました。 本イベントは、急成長スタートアップのリアルな戦略と、社会課題に向き合う実践者の想いを一度に体感できる貴重な機会となりました。 メンター三田会では、今後も実践知に触れ、つながる場を提供してまいります。

  • 米問題から見る農業の今と未来──メンター三田会7月定例イベント開催報告

    2025年7月23日(水)メンター三田会7月定例イベント 「米問題から透けて見える農業の現状と課題、今後の展望」が東京科学大学キャンパス・イノベーションセンターにて開催されました。 【第1部:基調講演】 第1部では、農業総合研究所 代表取締役社長の堀内寛さんにご登壇いただき、「米問題」を切り口に、日本の農業が抱える構造的な課題と今後の展望について講演いただきました。 なぜ近年、米の価格が上昇しているのか。その背景には単なる需給バランスでは説明できない要因があること、また日本人の米の消費量の変化、流通・物流の構造、そして値決めの仕組みといった業界の裏側まで幅広く解説されました。 講演後半では、農業全体の構造的課題、そして持続可能性やテクノロジーとの連携による未来像についてもお話しいただき、参加者は現場視点のリアルと課題の複雑性を実感する機会となりました。 【第2部:塾員ピッチ】 第2部では、株式会社イロリ代表取締役CEOの福崎康平さんによる塾員ピッチが行われました。 福崎さんは、食やものづくりに関わる職人・クリエイター向けのビジネスSNS「Crafty(クラフティ)」について、事業の構想と現在の進捗を紹介。 特に注目を集めたのは、ウェアラブルデバイスを装着したクリエイターから送られてくる映像データをAIで自動編集し、ショート動画化するという仕組み。職人の仕事の価値を「見る・伝える」新たなかたちとして、参加者からも高い関心が寄せられました。 今後もメンター三田会では、実践知とつながりが生まれる場を提供してまいります。

  • メンター三田会総会・交流会開催のお知らせ

    2025年6月26日(木)にメンター三田会の総会が執り行われました。総会では2024年度決算に係る件、事務局長並びに事務局次長、業務執行理事等の人事に係る件、諮問委員就任の件などが報告されました。また、新たに事務局長に就任された飯盛崇さんから事務局新体制に向けた抱負もお伺いしました。 交流会では國領顧問、荒井諮問委員をお呼びして「地域創生と中小企業/スタートアップの連携」というテーマでそれぞれから基調スピーチをいただきました。 國領顧問からは前橋の好事例を共有いただき、荒井諮問委員からは株式会社ストライクでのご知見を元に、この国難をどう乗り越えるかという観点で地方の目立っていない大企業がどのように活性化し、地域に還元していくかというお話をお伺いしました。 その後は田中副会長、前刀副会長を含めてパネルディスカッションを実施、若者が社長になりたいような会社にしていくには? V字回復した酒蔵の地域との関わり方の秘訣は?どのような時間軸で地域が変化していくかなど参加者も交えて闊達な議論が行われました。 交流会では多くの方が名刺交換をし、歓談に花を咲かせていました。

  • 技術系スタートアップの成長戦略:事業化からIPOまでの道のり

    技術系スタートアップのリアルに迫る──塾員ピッチと実践者によるパネルディスカッション2025年5月28日(水)、メンター三田会5月定例イベント「技術系スタートアップの成長戦略:事業化からIPOまでの道のり」が、アルー株式会社セミナールーム(九段下)にて開催されました。 【第1部:塾員ピッチ】 第1部は、 株式会社ジゴワッツ  代表取締役 柴田知輝氏によるプレゼンテーション。  EV充電器の製造から、エネルギーマネジメントを支えるアプリ課金サービスまで、ハード・ソフト両面を統合したソリューション群が紹介されました。 国内EV市場の成長スピードや規制環境の変化を踏まえつつ、すでに海外展開を視野に入れた戦略構想にも言及。社会インフラの変革を目指すリアルな取り組みに、参加者から多くの質問と共感が寄せられました。 【第2部:パネルディスカッション】 第2部は、以下の3名によるパネルディスカッションが行われました。  • モデレーター: 池田祐輔 氏(アルー株式会社 取締役/メンター三田会 理事)  • パネリスト: 吉野巌 氏(マイクロ波化学株式会社 代表取締役社長)  • パネリスト: 江戸川泰路 氏(EDiX Professional Group 代表パートナー)  テーマは「技術系スタートアップの成長戦略:事業化からIPOまでの道のり」。 ディスカッションでは、どのような大学発ベンチャーが“筋が良い”のか、創業初期からIPOを見据えた戦略設計の勘所(組織設計、資本政策、事業ピボットの判断)やディープテックにおける今後の資金調達のシナリオといった実務直結のテーマが掘り下げられました。 実践に即した話題が多く、参加者同士の活発な質疑や意見交換も見られる、充実した時間となりました。

  • 名倉勝氏ご登壇「スタートアップエコシステムの最前線と日本の可能性」

    2025年4月23日(水)、メンター三田会4月定例イベント「スタートアップエコシステムの最前線と日本の可能性」が虎ノ門ヒルズビジネスタワーにて開催されました。 【第1部:基調講演】 第1部では、CIC Japan合同会社CIC Instituteディレクターの名倉勝さんにご登壇いただき、スタートアップエコシステムの定義や日本の現状について講演いただきました。 本来2時間かかる内容をコンパクトにまとめてお話しいただき、エコシステムとは、起業家単独ではなく、投資家・事業会社・行政機関・教育機関などが相互に連携してこそ機能するものだと改めて理解を深めました。 具体例として、人材会社のマージン率を比較し、日本(30〜50%)に対して海外(約20%)といった違いにも触れ、エコシステムにおける各ステークホルダーの環境差についても解説。 今後は業種ごとに、たとえば創薬ならウェットラボ、医療機関、患者といったように、エコシステム内の構成要素をより精緻に分析する重要性が示されました。 また、日本におけるスタートアップ支援のあり方や、メンターの役割についても示唆があり、バークレーでは480名の起業家候補者に対して毎年一人ひとり面談・メンテナンスを実施している事例が紹介され、メンター活動の意義を再認識する機会となりました。 【第2部:学生ピッチ】 第2部では、StormStory代表の郡司大輝さんによる学生ピッチが行われました。 「若者は現在、1週間に1件程度しかSNS投稿をしない」というリアルな実態からスタートし、ありのままの魅力を切り取る次世代型SNS「Snipe」についてのプレゼンとデモンストレーションが行われました。 若い感性とデジタルネイティブ世代ならではの発想に、参加者からも多くの関心が寄せられました。

  • 真尾淑子氏ご登壇「産学連携によるイノベーションの創出:メンターとしての役割」

    第1部では、「そもそも大学とは何か?」という根本的な問いから始まり、近年注目されている産学連携の仕組みやその価値、可能性についてご講演いただきました。 大学の収支構造や産学連携によって得られる収入など、あまり知られていない背景知識をご紹介いただきながら、産学連携を通じたイノベーションの可能性について、構造的かつ多角的な視点から理解を深めることができました。 第2部は、電動車いす「Feeling」プロジェクトの代表・川崎陽祐さんによるピッチが行われました。「車いすになることは大きな精神的負担を伴う」という課題に対し、川崎さんは、自己効力感を高めるハンズフリー電動車いす「Feeling」を開発。このプロジェクトは、病院や福祉施設における移動支援にとどまらず、障害者の就労支援や、誰もが楽しめるユニバーサルなエンターテインメントへの貢献も目指しています。 参加メンターからはフィードバックも寄せられ、今後のさらなる展開と社会実装への期待が高まるセッションとなりました。 イベント開始前には隣接する三菱地所が運営するClimate Tech(気候テック)に特化したイノベーション拠点“ 0Club ”のご案内もありました。

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